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第33回 総会報告

11月8~9日、平成21年度日山協自然保護委員総会が愛媛県山岳連盟主管(後援:愛媛県・新居浜市・住友金属鉱山(株)・住友林業(株))にて、新居浜市(会場:銅山の里・自然の家、エクスカーション:銅山峰一帯)で開催され、全国22岳連(協会)から約120名が参加、「自然界の天然更新を別子銅山跡地で見守る」を大会テーマに、山岳環境の諸問題につき情報交流が行われた。

第1日

 総会は定刻を少し回った13時40分、新田優愛媛岳連理事長の司会により、有田信彦副会長の開会宣言で開始された。

 まず、主催者側田中文男日山協会長より「失われつつある自然を後世にどう伝えるか、自然保護に関わる様々な活動に大いに期待したい」旨の、長谷川茂日山協自然保護委員長から「新任ではあるが、指導員の皆様の一層の協力を得て頑張っていきたい」との挨拶に続き、主管者を代表して白石崇会長から翌日に視察する銅山峰につき「東洋のマチュピチュとも呼ばれる別子銅山跡地を擁し、標高1500m足らずの所にツガザクラが群生するなど日本アルプスに匹敵する自然が残る」との、続いて来賓の佐々木龍新居浜市長より「銅山の街として栄えた当地は、煙害や製錬用木炭需要により自然の荒廃を招いたが、精錬所の移設や植林活動等自然回復を目指した先人の努力や閉山後も続く回復活動によりその多くを取り戻しつつある」との紹介があった。

 14時10分、若月東兒前委員長の発語で徳永邦光常任委員を選出、議事に入った。

 まず青木敏雄常任委員より、大阪総会以降の常任委員会の活動報告がなされた。毎月第3火曜日16名の委員による定例会のほか、指導員規程の見直しや指導員台帳の再整理、自然環境に関する各種団体行事への参加、特に山岳団体自然環境連絡会(6団体)との協議を深め、今後もより広い視野に立った山岳環境保全に取り組んでいきたいとの報告、続いて浅見豊常任委員より、4月4~5日に常任委員等18名で行われたカタクリの群生地新潟県角田山でのオーバーユースの実態やその保護活動の視察、および7月4~5日に同じく14名で行った南ア北岳でのキタダケソウの食害状況の調査を行った旨の報告がなされた。さらに松隈豊常任委員より、昨今急激に増えているトレイルランに対する基本的スタンスおよび前述の6団体による「山の鳥獣目撃レポート」への具体的アクセスについての説明、山口泰雄常任委員からは指導員ゼロ県の撲滅を目指して推薦・登録のプロセスにつき説明があり、委員と岳連の有機的関係を深め山岳環境を守る活動を強化しようとの提言があった。

議事は「各都道府県山岳連盟(協会)活動状況等について(情報交換)」に進み、あらかじめ提出された資料に基づいて提案・報告がなされた。

 まず岐阜県戸田保忠委員長から、夜叉ケ池登山道や国有林のクリーン作戦、絶滅危惧種ワシ・タカのレンジャー活動が、栃木県手塚福寿委員長からは各種清掃登山や外来植物の除去活動が、茨城県山本廣己委員長からは清掃登山の変遷や地元ラジオを通じての広報活動が紹介され、さらに群馬県松本博委員から水場の水質調査や観察会の実施状況、熊穴避難小屋のトイレ設置に向けての活動が、埼玉県岩崎繁夫委員長から県とタイアップした各種清掃登山の報告、千葉県小川秀樹委員からも例年の環境保全活動を継続している旨、東京都大島文夫委員長からは委員会は啓もう・調査・研修・指導育成の4つの部で構成され観察会等の事業を分担、また行政とのタイアップや助成金を取得する等して継続的な活動を展開している状況、神奈川県松隈豊副委員長からは県民と行政の協働による山岳美化活動や森林づくり、指導員との情報交換の必要性、清掃登山から植栽活動への転換が報告された。

 続いて長野県松田美宏顧問から指導員ゼロではあるが、キヌガサソウやシラネアオイの盗掘防止パトロールや清掃活動など独自な活動を実施している状況、静岡県豊田稔監事からは高山植物保護指導員等複数の指導員が活動、富士山や南アルプスのゴミ減量に取り組み、また畑薙ダムサイトで登山相談所を開設、登山指導と事故対応を行っていることを、福井県矢島賢治委員長は指導員はゼロであるが、荒島岳、夜叉ヶ池、県民登山大会会場等のコース整備に環境省自然公園指導員が中心で実施している状況や有料化された登山道の報告、愛知県杉本三郎委員長からは愛知・三重・岐阜三県による東海岳連自然保護懇話会の活動や、他団体の自然保護活動への応援が、京都府深見良治委員長からは登山や自然保護活動を担う次世代の育成を目指し観察会や清掃登山を実施していること、ヤマビルやシカ害等の山岳環境の現状や京都一周トレイルランが報告された。

 さらに、大阪府足立俊郁委員長は、清掃登山やパトロールを実施するとともに、里山の自然を体感する生駒山系のパワースポットを巡るスタンプラリーに協力、また小学生対象の水性昆虫観察会を開催、自然の素晴らしさを伝える事業を継続していることを、兵庫県~橋敬三委員長は自然観察しながらのハイキングや、六甲山系4市により自然生態系保全や森林整備を行い、作業しながら自然環境保全の精神を養う活動を実践していることを、岡山県津島勝洋委員より清掃登山や指導員研修を継続的に行っているが、来年度グリーンシャワー公園の助成金が凍結、県岳連を中心に対応を協議していることが、広島県福永やす子自然環境担当チーフは、活動組織の名称を「自然環境保全」とし、清掃登山や登山道等の整備、委員の研修会を実施するとともに自然にやさしく売上金の一部を自然環境基金として寄贈する「山のおべんとう」を共同開発、9月には全国草原シポジウムに協力したことを、徳島県谷川光秋委員長より指導員はゼロではあるが、剣山国定公園のパトロールを継続的に実施、シカ害防止のネット掛け作業を行っていることが、高知県市村藤一会長からは清掃登山や拡大するシカ害を伝える広報活動を進めていること、森林面積日本一の当地で林道が付け加えられる等新たな問題が発生している状況、大分県高橋憲一委員から年2・3回の清掃登山を高体連と連携して行い、高校生の日常の登山の一環として進めているとの報告がなされた。

 最後に主催県愛媛の今北貞雄委員長より、行政と関わりながら四国登山大会を通じて強化された近県との連携を通じて自然環境保全を図りたいとの決意表明をもって、参加22岳連の地域の特徴を活かした活発な活動報告が締めくくられた。これら一連の報告に対する討議・質疑については、時間の関係で懇親会に持ち越し割愛されたが、今後継続的に検討を重ねていかなければならない各岳連共有の問題提起もあり、また各地の山岳環境の「現状」を伝えまた知ることが、参加した委員はじめ全国の自然保護指導員の今後の山岳環境保全活動を進める大きな一歩であることから、非常に有意義な報告であった。

 議事は本大会テーマ『自然界の天然更新を別子銅山跡地に見る』について、今北委員長から「自然保護の原点は自然観察に尽き、亜硫酸ガスや薪炭用に伐採され荒廃した銅山峰一帯が自然治癒力や植林をもってどこまで回復したか、またそこは植物遷移の過程の観察にも最適な場であり、こうした自然界の天然更新の姿を知ることによって人工的・自然的災害に対し適切な山岳環境保全措置を講じることができる」との翌日の研修登山へ興味を掻き立てる説明があった。さらに来年の自然保護総会開催は「新潟県」にお願いしたいとの長谷川日山協委員長の報告があり、総会は16時15分終了した。

 休憩を挟み、新居浜南高校情報科学部の生徒諸氏による『別子銅山の環境問題と戦った先人たちの知恵に学ぶ』と題したプレゼンテーションが行われた。

 1691年に開鉱、1973年の閉鉱まで300年近くにわたり新居浜の基幹産業であった別子銅山は、人口13万を数えるまでに繁栄をもたらしたが、地域は亜硫酸ガスや排水による公害、薪炭用に伐採され荒廃した山々など、深刻な環境問題も抱えていた。

 精錬所の移設や植林活動等自然回復を目指した先人の努力や日本の産業文化を今に伝える銅山の遺構(近代化産業遺産)を活かしながら閉山後も続く自然回復活動は「東洋のマチュピチュ」を目指す街づくりに繋がっていった。こうした取組みを全国に発信するために地域学習会や銅山を知る高齢者への訪問取材を重ねてガイドブックを作成、また「マインからマインド」を合言葉に観光甲子園で準優勝を果たした発表であり、日本の近代化に貢献した先人の努力を再認識もした。

 さらに中部以北の高山帯に自生するツガザクラの生育の南限に当たる銅山峰(標高1300m)での保護活動につき今北委員長より解説頂いた。登山者の急増でその分布域を急速に狭めており、保護柵と16カ所の定点観測点を設置し保護に努めているとのことであった。氷河期に瀬戸内海を渡り銅山峰に根付いた種で東予特有の強い山路風が吹く高山性砂礫地という環境が育くんできた非常に貴重な種、保護活動が実ることを心から祈りたい。

第2日

 翌日は、銅山峰の植生状況などを視察。前日解説頂いた近代化産業遺産が点在する里山に色づいた紅葉を愛でながら先人の自然回復の苦労を偲んだ。銅山峰では冬越しの準備を進めるツガザクラ群落に会えたが、群落に浸出したコメツツジは想像以上で固有種保護の難しさを改めて痛感した。

 最後に、愛媛県山岳連盟をはじめ、総会を主管・ご後援頂いた関係各位に対し、心より御礼申し上げます。2日間、本当にお疲れ様でした。

 来年、新潟での再会を期して

自然保護常任委員会

小高 令子 記